【独自】日本など11カ国で2~6割のドライバーが「配送件数大きく増加」と回答

【独自】日本など11カ国で2~6割のドライバーが「配送件数大きく増加」と回答

高性能スキャン技術のスキャンディットが11カ国対象のグローバル実態調査、ギグワーカーも多く

バーコードなどの高速・高精度読み取り技術を手掛けるスイスのスタートアップ企業Scandit(スキャンディット)はこのほど、日本など世界11カ国の配送ドライバー1217人を対象に実施した、業務の形態などに関するインタビュー調査結果を公表した。

新型コロナウイルス感染拡大に伴うECの利用増などで、配送の件数が大きく増えたと答えた割合が11カ国で2~6割に上り、ラストワンマイルの配送業務増加は世界的に見られる動きだということを裏付けた。日本は11カ国中、3番目に割合が大きかった。

また、宅配の荷物を自宅ではなく、宅配ロッカーや小売店舗など別のところで受け取る「PUDO(Pick Up&Drop Off)」の配送も、11カ国の全てで5割以上のドライバーが「増加している」を選択。新たな形態の配送が主要国で浸透しつつあることもうかがわせた。

自分が都合の良いタイミングで単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」としてドライバーの仕事をこなしている人は、日本などで4割前後となり、配送業務を展開する上で既に不可欠な存在となってきていることを示唆した。11カ国全体では29%という。

調査はスキャンディットと英調査機関Opinium(オピニウム)が2022年8月、主に荷物の配送に従事しているドライバー向けを対象に共同で実施。カバーしたのは日本と米国、英国、メキシコ、ブラジル、オーストラリア、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、インド。ドライバーは宅配会社や小売業者、郵便事業者などで仕事を担っている。それぞれの国で何人のドライバーが回答したのか細かい内訳は開示していないが、各国で100人以上を対象に実施しているという。

調査によると、この5年間で配送件数が「大きく増加した」と答えたドライバーの割合が最も多かったのがブラジルで63%、次いでインドが55%、日本が49%、ドイツが41%、メキシコが38%、米国とフランス、スペインがともに33%、イタリアが27%、オーストラリアが26%、最も少ない英国は24%だった。

また、PUDOの配送件数が増加したと回答したドライバーは11カ国全体で67%に達した。特にインドが8割近くに上ったほか、イタリアやブラジル、英国などが7割前後になった。日本も6割に達し、最も少なかったオーストラリアも5割を超えた。

経験を積んだドライバーのうち、現職にある期間が12カ月以下の人はインドが57%でトップ。次いでオーストラリアの42%、イタリアの39%、日本と英国の35%、メキシコの31%、フランスの30%などとなった。

ギグワーカーとしてドライバーの仕事に当たっている人は、メキシコや英国、日本、ブラジルなどが全体の4割前後と高い傾向にあり、日本がグローバル規模で見てもギグワーカーが配送の業務を担うケースが多いことが分かった。

スキャンディットは「ギグワーカーの多くは、2020 年以降に配送ドライバー業に就きました。多くのギグワーカーにとって、配送業に就くのはこれが初めてであり、この種の雇用モデルが出現している新たな傾向を反映しています。ラストワンマイルの配送を担う企業はこの点に対応する必要があります」と指摘している。

(藤原秀行)※グラフはいずれもスキャンディット

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