鉄道事業者と協業のサービス展開強化、24年末までに1800台のロッカー設置予定
多用途の活用が可能な「スマートロッカー」を展開しているSPACER(スペースアール)は1月31日、シリーズB(経営安定期)ラウンドで当初目標調達額の5億円を上回る総額6.15億円の資金調達を実施したと発表した。
三井住友海上キャピタルをリード投資家として、SMBCベンチャーキャピタル、JR西日本イノベーションズ、博報堂、広島ベンチャーキャピタル、ブルーインキュベーション、りそなキャピタルの7社を引き受け先とした第三者割当増資を実施した。
SPACERはスマートロッカー「SPACER」(スペースアール)を開発。スマートフォンアプリ上で空き状況の確認、利用予約、キャッシュレス決済のほか、物理的な鍵を無くしてURLで鍵の共有を可能にしている。
一般的なコインロッカーの用途の荷物一時預けに加え、荷物の受け取りや商品の発送など新たな用途を追加した。
昨今のデリバリーやEC需要の増加による配送費高騰、配送ドライバー不足問題の解決を促進するため、鉄道事業者と協業し、ECで購入した商品を店舗で受け取る「BOPIS」(Buy Online Pick-up In Store、ボピス)に対応可能なマルチコンテンツオープンロッカーとしても活用している。
2021年2月以降、西武ホールディングスやJR西日本、阪急電鉄との協業を相次ぎ打ち出している。現在のロッカー設置数は全国約200カ所で約550台(23年12月末時点)に達し、23年の売り上げは前年比3.5倍に伸びている。
今春には「SPACER」を活用した新サービスの展開も予定しており、調達した資金はサービスやシステムの開発費に充てる。
今後は鉄道事業者や観光事業者との取り組みをさらに強化し、24年末時点でのロッカー設置数は23年比約3.3倍となる全国360カ所・1800台、24年の売り上げは23年比で約3倍まで伸ばす計画。後3年間で約5000台の新たなロッカー設置を目指す。
駅に設置している「SPACER」スマートロッカーでコストコ商品を受け取る様子
鉄道事業者と協業し、注文を受けた商品を電車で運んでいる様子
(藤原秀行)※いずれもSPACER提供