出光、メタノール燃料使用可能な大型原油タンカー2隻を建造へ

出光、メタノール燃料使用可能な大型原油タンカー2隻を建造へ

風力推進補助装置なども搭載、CO2排出量削減図る

出光興産とグループで外航輸送を担う出光タンカーは4月24日、環境負荷を低減したVLCC(大型原油タンカー)2隻を建造することを決めたと発表した。

2隻の竣工は2028年と29年を予定している。

 
 

本船はメタノールおよび重油を燃料として使用できる「二元燃料焚き」。出光タンカー、飯野海運、日本郵船、日本シップヤードの4社によるコンソーシアムて策定したデザインコンセプトを採用する。

本船は二元燃料主機に加え、主機プロペラ軸の回転を利用して発電する「軸発電機」、VLCCとしては世界初となる風力推進補助装置「ローターセイル」を2本搭載する。

一連の仕様により、2025年以降の契約船について国際規制「EEDI(Energy Efficiency Design Index、エネルギー効率設計指標)フェーズ3」が求めるCO2排出量の基準値比30%削減に対し、今回建造する2隻は40%以上の削減が可能とみている。


メタノール二元燃料焚きVLCCのイメージ(プレスリリースより引用)

メタノールは基礎化学品としてさまざまな用途に利用されており、CO2排出量を削減するための有効なエネルギー源の一つとしても注目されている。

現状は船舶の燃料として主に重油が使われるが、メタノールを使用することで、重油と比べて窒素酸化物(NOx)を最大約80%、硫黄酸化物(SOx)を最大約99%、CO2を最大約15%それぞれ排出量を減らせるとみている。

 
 

バイオマスを原料として製造するバイオメタノールや再生可能エネルギー由来の水素と回収したCO2を利用して製造する合成メタノール(e-メタノール)といったグリーンメタノールを使用することで、さらにCO2排出量をカットできると想定している。

出光タンカーは本船2隻に加え 2026年以降に定期用船を行う4隻を合わせ、計6隻の環境対応船への入れ替えを予定している。

■VLCC2隻の概要
全長:最大339.5m
型幅:60.0m
型深:28.6m
満載喫水:21.0m
満載載貨重量:約309,400t
燃料:メタノールおよび重油
その他:大型軸発電機搭載、風力推進補助装置「ローターセイル」2本搭載

(藤原秀行)

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