「適正な原価と利潤」を基準に作成、ドライバーの労働環境改善機運高める狙い
関連記事:運輸審議会がトラック標準運賃案を適当と答申、国交省は4月中にも正式に告示へ
国土交通省は4月24日、2018年に成立した改正貨物自動車運送事業法に基づき、トラック運送の標準的運賃を正式に告示した。
標準的運賃の告示制度は23年度末までの時限措置と設定。告示された運賃自体に法的な拘束力はないが、必要なコストを賄うだけの収益を運送事業者が得られる根拠の1つとして国が明示し、運送事業者が荷主企業との運賃交渉する上での材料として活用してもらうことなどを想定。運送業界の経営改善とトラックドライバーの労働環境向上の機運を高めていくのが狙いだ。
告示された標準的運賃は全国の9運輸局と沖縄総合事務局の計10地域ごとに貸し切り(チャーター)を前提として、距離制と時間制の運賃表(タリフ)を作成。上限や下限の幅を設けず、統一的な運賃として設定している。
いずれも車種は2トン(小型車)、4トン(中型車)、10トン(大型車)、20トン(トレーラー)の4つを設定している。併せて、運賃の休日や深夜・早朝などの割増率、待機時間料、積込料なども盛り込んでいる。
告示された「標準的運賃」に関する資料はコチラから
標準的運賃は「適正な原価」に「適正な利潤」を加えたものを基準とするよう改正法で定めており、国交省はトラックの法定耐用年数とリースや融資の期間の実態を踏まえ、5年で車両の減価償却を済ませると仮定しているほか、人件費は全産業平均の時間当たりの単価を、間接費(一般管理費など)はトラック運送事業の平均値をそれぞれ採用。借入金の利息は営業外費用に算入し、帰り荷は実車率50%と設定している。併せて、自己資本に対する適正な利潤額をはじき出したと説明している。
赤羽一嘉国交相は2月、運輸審議会に告示する運賃案を諮問。同審議会は4月に「一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価および適正な利潤を基準としたものである」と答申していた。国交省は今後、運送事業者と荷主企業の双方に標準的運賃の内容を周知徹底し、適正な運賃収受の促進に努める構え。
(藤原秀行)