東京圏の大型先進物流施設空室率、7~9月は5・1%に上昇

東京圏の大型先進物流施設空室率、7~9月は5・1%に上昇

賃料は湾岸地域が牽引し上昇-JLL調査

 JLL(ジョーンズ ラング ラサール)は10月22日、2018年第3四半期(7~9月)の東京圏物流施設市場動向調査結果を発表した。

期末の平均空室率は前期(18年第2四半期、4~6月)比0・7ポイント上昇し5・1%だった。前年同期比でも0・9ポイント上がった。空室率が5%台を記録したのは18年第1四半期(1~3月)以来、2四半期ぶり。

 一方、期末時点の坪当たり月額賃料(共益費含む)は全体平均が4228円で、前期比0・3%、前年同期比でも0・7%それぞれアップした。
 JLLは賃貸市場の展望について「堅調な需要が新規供給を吸収しており、完成時の稼働率も好調となっていることから、大規模供給で懸念された空室率の上昇は限定的となる見通し」と解説。

 賃料に関しては「今後の供給予定の多くが内陸エリアに立地していることを反映して、全体平均が小幅ながら下落する可能性がある」との見方を示した。

 調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の利用状況を取りまとめた。

新規供給は4棟、45万1000平方メートル

 空室率をエリア別に見ると、「ベイエリア」(湾岸に近い東京・大田区、江東区、横浜市、千葉県市川市など)は前期比0・1ポイント上昇の0・1%、「内陸エリア」(東京都八王子市、神奈川県厚木市、千葉県柏市、埼玉県川島町など)は1・0ポイント上がって7・9%となった。

 賃料はベイエリアが1・6%上昇の4722円、内陸エリアが0・3%下落し3958円だった。立地で優位性があるベリアリアの上昇が全体の相場を牽引した。

 投資市場を見ると、物件価格は前期比2・7%、前年同期比でも2・8%のアップ。JLLは緩やかな賃料上昇と投資利回りの低下を反映したと説明しており、先行きについては「投資利回りの低下を反映して価格は上昇基調を維持する見通し」と指摘した。

 第3四半期中の新規供給は4棟、45万1000平方メートルに上り、ストックは前期比5%増加した。対象となった物件は以下の通り。

  1. 「アイミッションズパーク柏2」(千葉県柏市) 伊藤忠商事、メープルツリー 延べ床面積13万2000平方メートル
  2. 「ダイナベース」(東京・大田区) 日本自動車ターミナル 9万7000平方メートル
  3. 「プロロジスパークつくば1-A」(茨城県つくば市) プロロジス 7万平方メートル
  4. 「ESR久喜ディストリビューションセンター」(埼玉県久喜市) ESR  15万2000平方メートル

(表記などはJLLの報道発表資料に準拠)

(藤原秀行)

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