NTTデータとSAP、壊れやすい貨物の輸送追跡し保険手続き円滑化するソリューション開発

NTTデータとSAP、壊れやすい貨物の輸送追跡し保険手続き円滑化するソリューション開発

IoT機器で監視、貨物の破損・遅延に迅速対応可能

NTTデータとSAPアジア・パシフィック・ジャパン(APJ)は7月12日、サプライチェーンの保険管理を強化する新たなソリューション「Connected Product(コネクテッド・プロダクト)」を開発したと発表した。

NTTとSAPは2020年に戦略的提携を締結。NTTデータとSAPが共同で開発を進めてきた。

現在、グローバルバリューチェーンは地政学的リスクの高まり、貿易規模の拡大、材料調達の不確実性増大で一層環境が複雑化。輸送管理の不備による被害額は数千億円規模に達し、輸送中の損傷要因やインシデント発生タイミングの特定は極めて困難となっている。

現状を踏まえ、IoT機器を活用して輸送中の貨物の位置と輸送状態を監視。特にソーラーパネルといった壊れやすいもの、ワインやオリーブオイルなどバルク輸送の液体、チーズや医薬品またワクチンなどの温湿度管理が必要な品物の追跡に有効とみている。

サプライチェーン全体を可視化することで、貨物の破損や遅延にも迅速に対応できるようになる見通し。その結果、従来の貨物保険への加入や保険金の請求などの手続きの負荷を軽減し、貨物の期限内での輸送につながると想定している。

輸送状況をリアルタイムにエンド・ツー・エンドで監視し、貨物に影響を及ぼす可能性がある変動要因を捉え、貨物が事前に定められた条件で輸送されていない場合は、自動的に保険ポリシーの適用対象となる。併せて、全ての出荷と保険に関する書類をデジタル化し、サプライチェーン全体にわたるトラッキングと保険の一連の手続きを簡素化。保険会社や保険再販者、物流企業といった多岐にわたる関係者全体のコスト削減と利益創出が可能とみている。

現在、日本・ドイツ・スペインのNTTデータとSAPのConnected Productチームは、パートナーとなっているスペインの物流会社やドイツの保険会社と共同でConnected Productを活用した実証実験を展開中。20社の荷主と欧州・アジア間を輸送する数百のコンテナを実験対象として、IoTセンサーによって収集したデータを基にに、貨物に重要な条件の温度・光度・衝撃(値)などが輸送中に維持されていることを確認している。

実証実験は9月まで続けた後、NTTデータによって国際的な保険・物流会社向けに実ビジネスへの適用を予定している。


ソリューションの活用イメージ図(プレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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