楽天、西友とのネットスーパー事業を完全子会社化へ

楽天、西友とのネットスーパー事業を完全子会社化へ

「倉庫型」の運営継続、物流変革など注力

楽天グループは12月20日、西友と共同で設立した、インターネットスーパーの運営を手掛ける楽天西友ネットスーパーに関し、楽天が完全子会社化すると発表した。

今後は楽天が楽天西友ネットスーパーと倉庫型ネットスーパー事業の運営を継続。西友は実店舗を起点とする店舗出荷型ネットスーパー事業を単独で運営する形態に移行する。約1年間の移行期間を経た上で、楽天西友ネットスーパーの社名やネットスーパーのサービス名称を変更する予定。

楽天と西友は2018年4月、合弁で楽天西友ネットスーパーを立ち上げた。共働き世帯の増加やライフスタイルの変化などに加え、新型コロナウイルス感染拡大を受けたオンラインシサービスの普及で国内のネットスーパー市場が拡大する中、「楽天西友ネットスーパー」は生鮮・総菜を中心とする商品の品質と品ぞろえの向上、顧客ニーズへのきめ細やかな対応に努めている。

国内のネットスーパー市場は年々拡大傾向にあり、2022年は2770億円(前年比12.1%増)規模に成長したとの民間(富士経済)の分析もある。今後も物流インフラ整備への投資が進み、サービス展開エリアの拡大が予想される中、「楽天西友ネットスーパー」は現状、17都道府県で事業展開し、西友の全国の店舗網と3カ所の物流センターを駆使し、供給能力も強化してきた。

運営形態変更に伴い、楽天は意思決定の迅速さと柔軟性をさらに上げ、最適なタイミングで様々な選択肢を検討・実施することで早期の収益改善を目指す。

楽天は保有する1億超の楽天IDとポイントプログラム「楽天ポイント」を軸にした強固な会員基盤である経済圏「楽天エコシステム」を今まで以上に活用するとともに、倉庫型ネットスーパー事業は「楽天市場」をはじめとしたEC事業やその他サービスで培ったテクノロジーやアセットを最大限に生かす構え。

同時にネットスーパーのプラットフォーム「楽天全国スーパー」を通じて、全国の小売事業者のDXをより一層支援する。

倉庫型ネットスーパー事業では、品ぞろえの見直し・強化による粗利益率の改善などに取り組むとともに、物流の変革も引き続き図る。

西友の店舗型ネットスーパーは、これまで積み重ねてきた店舗オペレーションの生産性改善と配送効率改善などによって、既に9割を超す店舗で黒字化を果たしており、2024年には全店舗で黒字化を達成できる見込みという。

今後は経営資源を店舗型ネットスーパー事業へ集中させることで、収益性を一段と高めながら積極的に拡大していくことを目指す。実店舗とオンラインの両面で最高のOMO(オンライン・ツー・オフライン)サービスを提供し、ネットスーパーで優位性を確立することを狙う。

楽天と西友の戦略的協業関係に変更はなく、楽天のポイントプログラムを軸とした顧客獲得プロモーションおよびデジタルマーケティング施策、これまで実店舗に導入している「楽天ペイ」「楽天ポイントカード」などの各種キャッシュレス決済などで協業を一層深めると説明している。

(藤原秀行)

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