米シェブロングループ向け、温室効果ガス排出削減狙い
商船三井は9月13日、米石油大手シェブロングループの海運会社Chevron Shipping(シェブロン・シッピング)と、脱炭素化への継続的な取り組みの一環として、商船三井グループのMOL EnceanからChevron Asia Pacific Shippingに長期用船される新造LNG(液化天然ガス)運搬船に風力推進補助装置「ウインドチャレンジャー」2基を搭載することで合意したと発表した。
商船三井によると、同船は風力補助推進システムを搭載した世界初のLNG運搬船になる。
ウインドチャレンジャー2基を搭載したLNG運搬船の予想図
同は韓国の造船大手Hanwha Ocean(ハンファオーシャン)のコジェ造船所が建造しており、2026年の竣工を予定している。
商船三井は今年8月、一般財団法人日本海事協会から世界初となる風力補助推進システムを備えたLNG運搬船の基本設計承認(Approval in Principle、AiP)を取得した。
同船はこのAiPを取得したデザインをベースとして建造する初めての風力補助推進システム搭載LNG運搬船になるという。
ウインドチャレンジャーは伸縮式の帆を備え、風の力を推進力に変える。同船の燃料消費量削減と温室効果ガス排出量抑制に寄与すると見込む。
安全面ではウインドチャレンジャーの冗長性を持った設計に加えて、全天候型船橋の採用や船体前方の上甲板に設置予定のLookout stationによる視認性の補助など、複数の安全対策を講じている。
既存のメンブレン型LNG運搬船の係留装置の配置に影響を及ぼさない帆の搭載位置と、風圧面積の影響を抑えた設計によって船陸整合性への影響を最小限にとどめ、配船の柔軟性を確保している。
<本船概要>
船主 MOL Encean Pte. Ltd.
全長 / 全幅 約286メートル / 約46メートル
貨物槽容積 約174,000立方メートル
建造造船所 Hanwha Ocean Co., Ltd.
ウインドチャレンジャー仕様 帆数:2基
高さ:最大約49メートル(3段式)
幅:約15メートル
帆の材質:繊維強化プラスチック
(藤原秀行)