日本GLPがメディア向け説明会、業務の機械化対応にも意欲
日本GLPは12月5日、東京都内の本社で、冷凍・冷蔵機能を持つ物流施設の開発方針に関するメディア向け説明会を開催した。
家庭での冷凍食品需要増加や食品ECの成長などを受け、今後も冷凍・冷蔵倉庫のニーズは拡大していくと想定していることを強調。現在、関東と関西で9棟の開発プロジェクトを進めており、今後3~5年で約2000億円を投資、28年ごろまでに開発を手掛ける冷凍・冷蔵倉庫の面積を23年時点から2倍の13万坪へ広げていきたいとの計画を明らかにした。
また、施設開発にとどまらず、低温物流を得意とするなど複数の物流企業と連携し、テナント向けに幹線輸送などの物流サービスを提案していくことに注力する姿勢を表明。
既に賃貸需要が旺盛な3PL事業者やEC事業者らに加え、冷凍食品メーカーや倉庫会社の賃貸物流施設のニーズを掘り起こしていくことに意欲を見せた。
説明会に登壇した同社の松脇隆常務執行役員営業開発部長は、冷凍・冷蔵倉庫でもオペレーションの自動化要望が高まっていることについて「GLPなりに考えたデベロッパーとしての機械化・自動化は進んでいくと思う。ドライ倉庫もそうだが、冷凍・冷蔵倉庫には一番機械化・自動化が浸透していくだろうと思っているので、真摯に研究している」とアピールした。
同じく冷凍・冷蔵倉庫開発に注力している霞ヶ関キャピタルが、自動冷凍倉庫で従量課金制の保管サービスを打ち出していることについては「(追随は)考えていない。基本的に、賃料をいただいている先とライバル関係になるようなところには踏み込みたくない」と語った。
日本GLP営業開発部の駒俊志グループリーダー(ヴァイスプレジデント)は、食品メーカーや倉庫会社への賃貸冷凍・冷蔵物流施設のアピールポイントを聞かれたのに対し、「希望の立地でなかなか(開発用地を)買えなくなっているので、いい立地で作れば借りる可能性はあると思う。2050年にはフロンが使えなくなり、自然冷媒にないといけないので、どうしても更新できない方は賃貸にせざるを得ないという世界観はあるのではないか」と述べた。
営業開発部の伊藤晋シニアマネージャーは、金融機関や株主が食品メーカーなどに対して投資がどれだけリターンを挙げているかをより注視するようになってきていると指摘。「自社で投資をして、数十年かけて回収するというのは財務的に重いし効率が悪いので、このあたりも意識している部分。(企業が外部倉庫を)借りるということも選択肢として考えないといけないようになってきている」との見方を示し、冷凍・冷蔵倉庫の利用も同様に広がっていくとの展望を示した。
(藤原秀行)