NEDOと民間企業が実験成功、離島への物資輸送など実現後押しと期待
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)やSUBARUなどは7月25日、福島県南相馬市で、ドローン(無人飛行機)が接近する有人のヘリコプターを自動で回避する技術の実証実験をメディアに公開した。
今回は中型ドローンに見立てた無人ヘリを活用。世界で初めて、相対時速が100キロメートルの環境下で回避に成功した。
NEDOなどは「ドローンを離島への物資輸送や災害対応などに活用する上で非常に重要な技術」と意義を強調。今後はより小型のドローンにも利用できるよう技術開発を進め、早期の実用化を目指す。
実験に用いた無人ヘリ
実験には三菱電機や日本無線、日本アビオニクス、自律制御システム研究所(ASDL)も参加。福島県や南相馬市、福島イノベーション・コースト構想推進機構の協力を得た。
無人ヘリはヤマハ発動機製の長さ約3・7メートル、重量約110キログラム「Fazer G2」を投入。SUBARUが開発した最適な回避経路を自動的に判断する自律管理システムや、日本無線の電波センサー(レーダー)、日本アビオニクスの光波センサー(カメラ)などを搭載し、周辺の環境をリアルタイムで監視できるようにした。
実験は海上で無人ヘリが時速約40キロメートル、有人ヘリが約60キロメートルで相対する方向にそれぞれ直進。無人ヘリがレーダーなどで有人ヘリを探知し、最も接近する約20秒前に旋回を始め、正面衝突を回避した後は再び想定の飛行ルートに戻った。有人ヘリとは安全を保つために最低限必要な距離150メートル、高度差40メートルを維持した。
NEDOロボット・AI部の宮本和彦主査(プロジェクトマネージャー)は「レーダーは海の波の影響を非常に受けやすく、その影響を排除するのが非常に大変だった。こうした技術を確立できたのは海上を飛行する離島へのドローン物流を実現する上で非常に役立つ」と解説。関連企業などと連携し、2019年度中に離島へのドローン物流に衝突回避システムを採用した飛行試験を目指す考えを示した。
実験前の記者会見に臨む宮本氏
(藤原秀行)