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マンション内配送ロボット「今後3年で1つでも多く実装ケース積み重ねたい」

マンション内配送ロボット「今後3年で1つでも多く実装ケース積み重ねたい」

日本郵便・五味部長が早期実用化に意欲

日本郵便の五味儀裕オペレーション改革部長は3月23日、千葉県習志野市のオートロックマンションで宅配ロボットが建物内の各住戸に荷物を届ける実証実験を公開した後、現地でメディアの取材に応じた。

五味部長は、同社が配送現場の業務効率化へドローン(無人飛行機)や公道を走行する宅配ロボットの活用に向けた取り組みを進めていることに触れた上で「今回のような屋内型ロボットは(社会実装へ)非常に近い位置にいると思う」と述べ、実際の郵便物などの配達現場への早期投入は可能との見解を表明。

「新型コロナウイルスの感染拡大の影響で宅配荷物が増えてきており、非対面・非接触の受け取りニーズも加速度的に強まっている。宅配ロボットが果たす物流面での役割は非常にニーズが高まっており、今後3年間で何とか実装のケースを1つでも多く積み重ねていきたい」と普及に意欲を見せた。

今回の実験は、日本郵便の配達員が専用のスマートフォンアプリから配達先の部屋番号を入力すると、香港製の自律走行型屋内配送ロボット「RICE(ライス)」がマンションのエントランスから登場。配達員がライスの上部を開いて荷物を積み込むと、自動でエレベーターに乗り込み、配達先の部屋まで自律移動した。


オートロックのエントランスドアを開けてロボットが登場(以下4枚の写真はいずれも代表撮影)


荷物を積み込む


屋内を自律走行


住民が荷物を取り出す

複数マンションでロボットシェアしコスト低減も

五味部長は、ロボットがエレベーターを操作して異なるフロアを移動するなどの検証項目に関し「おおむね順調に来ており、大過なく実験をこなせている。一定の手ごたえを感じた」と成果を強調。実際にロボットと対面する住民の反応についても「非常にユーザーフレンドリーなデザインということもあり、実機を交えた説明会などを重ねる中で徐々に受け入れていただけた」と語った。

普及を図る上で課題になるコスト面については、現状はオートロックマンションに配達する場合、日本郵便の配達員が対象の住戸全てから事前に建物へ入る許可を得ており、手間が掛かっていると解説。宅配ロボットを使うことで配送時間短縮などにつながり、特に大型マンションでは効率化の効果が期待できると分析した。

また、コスト低減のため、複数のマンション間で宅配ロボットを共有していくことなども検討する姿勢を見せた。

取材に同席した経済産業省の西野健物流企画室長は「このビジネスは非常に新しく、『初めて』という言葉が非常に多く使われるが、日本郵便さんがチャレンジされていることにわれわれも勇気をいただき、感謝している」と述べ、引き続き法律改正などで実用化を後押ししていくことをアピールした。また、現状の小型ロボットに加え、今後は中型ロボットの宅配などへの活用に関しても検討していくことに言及した。

実験に協力している日立製作所公共システム事業部パブリックセーフティ推進本部の藤田将史主任技師は「ロボットとエレベーターを連携させた運行管理システムを通じて配送ロボットの社会実装実現に貢献していきたい」と説明。ロボットのRICEを取り扱っているアスラテックの酒谷正人社長は、RICEが海外ではホテル内でルームサービスの料理を届けるといった活用が既にされていることを紹介。「親しみやすい外観も重視しながら導入を進めていきたい」と日本郵便支援に意欲をのぞかせた。

日本郵便の担当者はロジビズ・オンラインの取材に対し、住民の理解を前提としてロボットで玄関前への置き配にも対応できるようにしたいとの意向を説明。採算を確保するため、将来はマンションにロボットを常備して複数の宅配事業者が共同で使ったり、清掃や警備といった機能も併せて持たせたりする可能性があるとの持論を示した。

日立製作所の担当者によれば、エレベーターに住民が乗っている場合はロボットが待機し、先にロボットがエレベーターを利用していて住民が後から乗り込んできた場合はそのまま同乗できる仕様になっているという。


取材に応じる(左から)日本郵便・五味氏、経産省・西野氏、アスラテック・酒谷氏、日立製作所・藤田氏。手前は実験に投入している「RICE」

(川本真希、藤原秀行)

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