エア・ウォーター、極低温冷凍システム製造・販売するベルギーのドゥーメイヤーを子会社化

エア・ウォーター、極低温冷凍システム製造・販売するベルギーのドゥーメイヤーを子会社化

ワクチン・新薬・食品加工などのコールドチェーンをターゲットに事業拡大図る

産業用ガス大手のエア・ウォーターは4月17日、2019年に49%出資した極低温冷凍システムの製造・販売を担うベルギーのDohmeyer Holding BVBA(ドゥーメイヤー・ホールディング・BVBA)の株式31%を3月30日付で追加取得し、子会社化したと発表した。追加取得額は開示していない。

エア・ウォーターは海外の産業ガス供給事業拡大を見据え、産業ガスの製造・供給を通じて長年培ってきた極低温のハンドリング技術を強みに、水素関連機器をはじめとした低温機器の製作拠点を東南アジア、北米、欧州の3地域で整備しながら、産業ガスエンジニアリング事業のグローバル展開を進めている。今回の子会社化もその一環。

ドゥーメイヤーが手掛ける極低温フリーザーや保管システムは、冷媒に極低温の液化窒素や液化炭酸を使うため、電気式と比べて冷却能力が高く、被冷凍物の品質低下を防ぐことができる点がメリット。特に、極低温フリーザーは食品用途を中心に豊富な納入実績を有し、欧州を中心に北米、日本、東南アジアとグローバルに事業展開している。

同社は近年、新型コロナウイルス感染拡大への対応として開発が急速に進んだmRNAワクチンをはじめとするワクチンや新薬の凍結需要を対象に、医薬・バイオ関連ビジネスの事業拡大に注力している。製薬メーカーのコールドチェーンを支える「医薬品用極低温フリーザー」や「大型凍結保管庫」の開発・販売を進め、今年4月には、ポーランドで新工場が稼働を開始した。

ドゥーメイヤーを子会社化したことで、極低温冷凍システムと液化窒素や液化炭酸の供給を組み合わせた事業展開が可能になると説明。今後は、医療・バイオ関連ビジネスの需要の拡大を見据え、冷凍システムのラインアップを強化するとともに、各システムを産業ガスのアプリケーション機器として、北米、東南アジア、日本へも水平展開することでコールドチェーン事業を確立していきたい考え。

Dohmeyer社 会社概要
会社名 :Dohmeyer Holding BVBA ※BVBAは、オランダ語で有限会社の意。
所在地 :ベルギー王国 ヘント
代表者 :Fabian Van Damme
事業内容:極低温フリーザーをはじめとした低温機器、凍結保存容器の製造・販売
売上高 :約30億円(2022年12月期) 


液化窒素式極低温トンネルフリーザー


大型冷凍保管庫


ポーランドで稼働した新工場(いずれもプレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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