有力デベロッパーのキーパーソンが語る展望と戦略⑤
先進的物流施設開発を手掛ける主要プレーヤー6社の経営幹部や担当者がこのほど、当社のインタビューに相次ぎ応じた。
第5回は三井不動産の三木孝行常務執行役員ロジスティクス本部長が登場する(月刊ロジスティクス・ビジネス2018年10月号掲載インタビュー記事を再構成の上、掲載した。詳細は同誌を参照)。
三木氏は、これまで開発してきた物流施設18棟に関し、いずれも入居テナントが決定していると明らかにした。2019年は首都圏を中心に計7棟が完成する予定だが「お客さまの反応は非常に良く、手応えを感じている。19年は当社にとって節目の年になる」と前向きな見方を示した。
大量供給の影響でリーシングに時間を要する物件が見られるが、三木氏は「当社では順調に推移している。12年に物流施設開発へ本格参入する際、事業を展開する有望なエリアを明確に絞り込み、厳守してきたことが奏功している」とアピール。立地最重視の基本戦略を今後も維持する姿勢を重ねて訴えた。
デベロッパーの間で開発用地取得競争が激しくなっていることについても「参入当初に手掛けた数件を除き、ほぼ(地主と)相対での用地取得となっている。これからも入札で高値づかみをしないという方針は変えない」と明言。厳しい事業環境の中でも開発は着実に続けられるとの強気な姿勢を見せた。
新たな取り組みとして、若手社員が同社開発の物流施設の現場で実際に2~3日働いたり、入居テナントの従業員らとコミュニケーションを取ったりしていると説明。「その結果、女性用トイレが少ない、休憩場所が足りないといった改善すべき点に気付き、施設開発に反映させている。現場の生の声を吸い上げて改善を図る重要性を確認できたのは大きい」と強調した。
自社物流施設内の自動化・省力化機器ショールームを大幅に拡張へ
同社は物流現場の人手不足深刻化を受け、自社開発の物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅰ」(千葉県船橋市)に2017年、自動化・省力化の機器を紹介するショールーム「MFLP ICT LABO(ICTラボ)」を開設した。
三木氏はICTラボの運営状況に関し「非常に人気が高く、見学にいらした企業は延べ200社を大きく超えた」と述べ、近隣に来秋完成予定の「MFLP船橋Ⅱ」へ移転することにあらためて言及。注目度の高さを踏まえ、規模を大幅に拡大することを明かした。
三木氏は「その狙いはソリューション営業の強化。実際に当社の施設でマテハン機器が使われたり、専門家の方々と勉強を進めたりして、機器の導入効果に関しても(当社内で)知見が高まってきている。ICTラボを活用しながら、入居企業の皆さまのニーズに応えられるソリューションを提供していきたい」と意気込みを示した。
(聞き手・藤原秀行、写真・中島祐)
インタビューに応じる三木氏
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