【独自取材】セルートの配送マッチング「DIAq」、名古屋や福岡にサービス拡大へ

【独自取材】セルートの配送マッチング「DIAq」、名古屋や福岡にサービス拡大へ

利用増受け、宅配との連携強化や地方展開の可能性も

バイク便などを展開しているセルート(東京)は、2017年にスタートした配送したい荷物と運び手を仲介するマッチングアプリ「DIAq(ダイヤク)」のサービス拡大に乗り出す。現在展開している東京や横浜、大阪に加え、新たに名古屋や福岡もサービス対象とする方向で準備を進めている。

宅配便業界で人手不足が深刻化していることもあり、ラストワンマイル配送の担い手として、宅配事業者との連携強化も視野に入れている。荷物の配送需要が伸びているのに加え、空いた時間に荷物を運ぶ仕事をしたいと希望する人が増えている状況も踏まえ、社会のインフラとしての物流の一翼をより確実に担っていきたい考えだ。


アプリ上で受発注から集荷、配送、決済に至る一連の手続きをスマートフォン1台で可能に(セルート提供)

“隙間時間”活用する運び手は5000人に

DIAqはプロのドライバーに加え、自転車で通学する学生、主婦、飲食店の出前担当者、バイク便や自転車便のライダーといった人たちが、空いた時間に荷物を運べるようマッチングするサービス。荷物を運んでほしい人はアプリを通じ、登録しているアンカー(運送者)の中で近くにいる人に配達を依頼する。依頼の際に判断材料となるよう各アンカーの業務への評価を閲覧できるようにしており、運送の質担保に努めている。

現在は約5000人がアンカーとして登録。東京23区と横浜市、大阪市をサービスエリアに設定している。利用者の増加が今後も見込まれるため、2019年度中にも名古屋、福岡の両エリアでサービスを始める見通しだ。利用状況などを見極めた上で、他の都市への拡大についても検討する。

DIAqはビジネスの書類から書籍、出前や仕出しの食品、花といった贈り物など多様なものを扱っており、最近では訪日外国人観光客向けに貸し出した通信機器をユーザーに届けるといった新たな使途も次々に生まれている。また、さまざまなEC事業者と組んで商品の当日配達や深夜早朝の配達などを提供、サービスの幅を着実に広げている。

そうした業容拡大の流れの一環として、宅配事業者と荷物配送における連携の可能性を探るための実証実験を手掛けている。セルートの松崎晋也DIAqプロジェクトリーダーは「成長が込まれているECは少量多品種配送が特徴なので、まだまだ物流自体も伸びていくフェーズ。人口が減る局面ではいろいろな方にアクセスし、“隙間”の時間に配送を担っていただくことで宅配業界の負担軽減につなげられないかどうか見極めたい」と話す。

また、現状は都市部でのサービス提供となっていることに関連し、松崎氏は「サービスの現状のスキームではどうしても都市部が中心になるが、人手不足などの問題の深刻さは都市部より地方が強い。当社として、お困りごとの解決に応えられないかという課題はある」との考えを示しており、今後は地方部へのサービス投入も議論されそうだ。その際は、買い物代行といったサービスがテーマになるとみられる。


外国人観光客向けの通信端末配送も人気(セルート提供)


取材に応じる松崎氏

(藤原秀行)

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