人力やヘリコプターを代替、21年めどに離島などでサービス開始目指す
楽天は9月18日、長野県白馬村の白馬岳でドローン(無人飛行機)を活用した物資輸送の実証実験に成功したと発表した。高低差が最大で約1600メートルある山岳地帯で無事、荷物をドローンで届けたのは国内初という。
実験は今年8月中旬から9月中旬の約1カ月間、地元自治体などと連携して実施。桃や梨などの果物約5キログラムを搭載して登山口の「猿倉荘」(標高1250メートル)を離陸、山頂付近の「白馬山荘」(2832メートル)や白馬岳頂上宿舎(2730メートル)まで輸送した。「白馬山荘」から「猿倉荘」への復路では建築廃材などを配送ボックスに積み込み、配送した。
飛行距離は約5キロメートル。歩いて運ぶと片道7時間を要するが、ドローンは片道約15分で到達可能という。これまで山岳地帯の物資輸送は長時間を要する人力か、コストがかさむヘリコプターのいずれかを使わざるを得なかったが、両方の手段を代替するドローンを利用できるようになれば時間短縮と経費削減を図ることが可能になる。
楽天は既に神奈川県横須賀市や福島県南相馬市など全国12県でドローン物流の実験を重ねてきている。今回の山岳エリアの実証実験の成果も活用し、離島や山間地などでドローンによる荷物輸送サービスを2021年にも本格的にスタートしたい考えだ。
桃などをドローンに積み込む(以下、いずれも楽天提供・クリックで拡大)
(藤原秀行)